「不動産担保ローン」という言葉を聞いたことはありますか?不動産担保ローンとは、不動産を担保に融資を受けるローンのこと。運転資金や設備投資など、法人や個人事業主が資金調達の手段の一つとしてよく使うものです。
今回は「不動産担保ローンの審査基準ってどんなもの?」「審査に通るためのコツやポイントを知りたい!」という方に、審査に通るためのポイントなどを詳しく解説していきます。
不動産担保ローンの審査に必要な書類や流れもあわせてお伝えしますので、ローンを組みたくてもなかなか組めない方やこれから不動産担保ローンを組みたいと考えている方は参考にしてみてくださいね。
1. 不動産担保ローンの審査基準とは?
最初に、不動産担保ローンの審査基準について説明します。
◎申込者に関する審査◎
金融機関はまず貸したお金を返してもらえるかどうかを判断するため、申込者の返済能力を審査します。
主に個人の属性を見られるので、「その人がきちんと毎月返済できるくらいの安定した収入があるかどうか」や「今までローンの返済が遅れたことはないか」などで判断されます。
「仕事の内容」「会社の規模」「年数」なども審査のポイント。また、今までにクレジットカードの支払い延滞があったり、携帯電話の通話料金の滞納があったりすると審査が通らない可能性もあります。
◎担保にする不動産に関する審査◎
申込者に対する審査のほかに、担保にする不動産に関する審査もあります。
金融機関は担保になる不動産に抵当権などを設定し、返済できなくなったときには担保にしていた不動産を売却して返済に充てることができます。そのため低金利での融資を行うことができるのです。
ここでは、不動産の価値を評価する方法を見ていきましょう。
①土地の評価
土地を評価する指標は以下の4つ。金融機関は、近隣の取引事例やこれら4つの指標を参考に融資限度額を算出します。
・公示価格
国土交通省が毎年1月1日時点の土地1平方メートルあたりの正常な価格を「一般的な土地取引の指標や公共事業用地の取得価格算定」の基準として公示するもの
・基準地価
都道府県知事が毎年7月1日における土地1平方メートルあたりの標準価格を判定して公表するもの
・路線価
相続税・贈与税課税のための評価として、国税庁が毎年1月1日時点での道路に面する土地1平方メートルあたりの評価を7月に発表するもの
・固定資産税評価額
固定資産税課税のために総務省・市町村が1月1日時点の価格を評価実施したもの
②建物の評価
建物の場合、評価額は建物の築年数によって変わってきます。建物の評価額の算出方法は以下の通り。
【再調達価格×残存年数÷法定耐用年数】
「再調達価格」とは、同じような建物を建て直すために必要な費用と考えてください。
「法定耐用年数」とは、その建物が何年くらいの利用に耐えられるかを細かく決めた年数のこと。木造の住宅などであれば22年、鉄筋コンクリート造りの住宅であれば47年と決められています。
この建物評価額の算出方法の計算に当てはめると、法定耐用年数を超えた建物の評価は実質0円になります。そのため、築年数が古い物件は建物の評価額は加算されず「土地代」のみで評価されることが多いのです。
2. 不動産担保ローン審査の流れと必要書類
不動産担保ローンの審査には必要な書類があります。ここでは、不動産担保ローン審査の申し込みにあたって用意すべき書類と、審査の一般的な流れを解説します。
◎審査に必要な書類は?◎
公的な身分証明書類のほかに、以下の書類を準備しましょう。
・住民票
・印鑑証明書
・源泉徴収票3年分(サラリーマンの場合)
・確定申告書3年分(個人事業主の場合)
・不動産の登記簿謄本
・土地建物評価証明書
・建物の確認通知書、建物検査済証
なお、物件購入の場合は不動産売買契約書や工事請負契約書なども必要です。
◎申し込みから借り入れまでの流れ◎
審査に必要な書類を集めたら、まず融資の仮審査申し込みを行いましょう。直接金融機関に行かなくてもWebサイトからの申し込みも可能。約1週間で審査が完了します。
仮審査に通れば、正式な申し込みの審査を行います。審査期間は約2週間です。
融資の承諾が得られたら金融機関と契約し、融資が振り込まれます。そして、担保となる不動産に抵当権が設定されます。
世の中にはさまざまな種類の金融機関がありますよね。金利や条件などは金融機関によって違うので、一度直接相談することをおすすめします。
3. 審査に通る人・通りにくい人の特徴
不動産担保ローンは「不動産を担保に金融機関からお金を借りる方法」。不動産を担保にしているので比較的融資を受けやすいといわれています。
ただし、審査に通る人がいる一方で通りにくい人もいて、実はそれぞれに特徴があるのです。審査に比較的通りやすい人と通りにくい人の特徴を見ていきましょう。
◎審査に通る人の特徴◎
不動産担保ローンの審査は「本人の信用」と「不動産担保の価値」を合わせた形で判断します。無担保ローンでは貸し倒れになったときにお金を回収することができないので、大きな金額を融資した金融機関は損をしてしまいますよね。
一方、有担保ローンの場合、万が一貸し倒れが発生しそうなときは担保を売ってお金を回収できるというメリットがあります。無担保ローンよりリスクが低くなるので、本人の信用のみならず不動産担保の価値でも審査ができるのです。
例えば「不動産評価の範囲内の融資額にする人」や、「カードローンや車のローンの返済が過去に滞ったことがない人」は不動産担保ローンに通りやすいでしょう。
◎通りにくい人の特徴◎
反対に、審査に通りにくい人の特徴とはどのようなものでしょうか。単純なことですが「書類に不備がある人」は、審査に進むことができないので審査に通らない恐れがあります。
さらに「住宅ローンが残っている人」は、すでに住宅ローンの抵当権が設定されているので不動産担保ローンの抵当権順位は2番目に。住宅ローンの抵当権を設定している金融機関などが優先的にお金を回収するため、不動産担保ローンの抵当権を設定している金融機関などは回収するお金が少なくなってしまいます。
マイホームなどの住宅ローンを借りている人は不動産担保ローンが通りにくくなるので、覚えておきましょう。
4. 審査に通るための3つのポイント
不動産担保ローンの審査に通るにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、審査に通るための3つのポイントを紹介します。
Point1:不動産の属性を調査する
築年数が古い建物や再建築不可の不動産などの場合、金融機関によってはそもそも融資に消極的なところも。
さらに不動産名義が共有であったり、借地や底地などの権利関係が複雑な不動産であったりすると、選択する金融機関が絞られてくるので注意しましょう。事前相談の段階で複数の金融機関に相談してみることをおすすめします。
Point2:事業計画をたてる
法人や個人事業主の場合、事業計画書の提出を求められる場合があります。金融機関の担当者が融資を通すために上司や保証会社などに説明をする必要があるからです。
その場合、「今後の事業の見通し」「資金調達後にどのような動きを見せるのか」「返済計画は具体的にどのようになるのか」といった細かい情報が必要。資金調達後の事業の構想や計画をきちんと伝えることで信頼関係が生まれ、良い金融機関との出会いにもつながるでしょう。
事業計画作成には専門的な知識やお金の計算などが絡んでくるので、税理士や中小企業診断士などの専門家に相談すると良いアドバイスがもらえるかもしれません。
Point3:担当者との信頼関係を構築する
金融機関の担当者にはできるだけ細かい情報を伝えましょう。金融機関も初めて面談を行うため、どのような事業計画をもって返済をしていくのかをヒアリングする必要があるからです。
融資を受けるためには「金融機関の担当者に熱意を伝えられるかどうか」がポイント。本音で担当者と向き合うことでお互いの信頼関係が深まり、より良い関係を構築することができるはずです。
「担当者とは長い付き合いになる」という意識で信頼関係を築いていきましょう。
5. まとめ
不動産担保ローンの審査基準や審査に通るためのポイントをご紹介してきました。必要書類や、不動産の属性によって金融機関を選ぶ必要があるということもお伝えしましたね。
融資限度額は「不動産の担保価値」と「申し込む人の返済能力」によって決まります。不動産の価値が高ければ融資額も高くなりますが、不動産の価値が高いだけでは不動産担保ローンを組むことはできません。
不動産担保ローンを受けるための基本的な知識をもって、信頼関係を築けるように金融機関の担当者に熱意あるプレゼンを行いましょう。
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