地主から借りている土地に自身の所有する建物がある方のなかには、「そろそろ借地を返還しよう」とお考えの方もいるでしょう。借地の返還にはいくつかの方法があり、場合によっては課税対象となったり、費用がかかったりするため注意が必要です。
本記事では、借地の返還方法や費用、具体的な流れについて詳しく解説します。
1.借地の返還方法
借地を返還するには、無償または有償で地主に返還する方法と、借地権や建物を第三者に売却する方法があります。それぞれの返還方法を詳しくご紹介しましょう。
①更地に戻して無償で地主に返還する
契約期間満了に伴い、借地を無償で地主に返還する方法です。原則として建物を解体し更地に戻す必要がありますが、この方法で返還すれば、借り主は課税の対象とならずに済みます。
ただし、解体にかかる費用は借り主負担となるため、注意が必要です。また、建物を解体したら1カ月以内に、建物が消滅したことを証明する建物滅失登記の手続きをしなければなりません。
解体工事や建物滅失登記にかかる時間を考慮すると、借地を返還するまでに半年から1年程度かかります。地主との交渉が難航した場合は、さらに年月がかかってしまうでしょう。
②有償で地主に返還する
地主がその土地を活用したいと考えているようなら、借地権を地主に買い取ってもらうのも一つの方法です。地主は貸し出している土地を活用する権利を持っていませんが、借地権を買い取ることで、土地の完全所有権を手に入れられます。
地主に借地権を買い取ってもらうためには、交渉が必要です。また、交渉時に売却額などでトラブルに発展してしまう恐れもあるので、注意してください。
借地権の買取価格に明確な相場はないものの、通常の更地価格の50%程度で取引されるケースが多く見られます。相場と照らし合わせながら、適正な価格で返還しましょう。
③第三者に売却する
借地権は資産としての価値があるため、第三者に売却することも可能です。しかし、第三者に売却する際は、地主の承諾を得る必要があります。
また、借地権を購入したいと考える買い手はほぼ存在しないといっても過言ではありません。借地権を購入したとしても、一定の地代の支払いが必要な上、建て替えやリフォームをする際には地主に承諾料を支払う必要があるためです。
借地権を第三者に売却する際は、交渉や手続きが必要です。自力で対処するのが難しい場合は、不動産会社や借地権の買取を専門に行う業者に相談してみましょう。
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2.借地を返還する手続き
ここでは、借地を返還する基本的な流れをご紹介します。
①土地賃貸借契約書を確認する
借地契約の更新をしないと決めたら、まずは土地賃貸借契約書の内容を確認してください。契約書には、借地権の種類をはじめ契約期間、建物の処分方法、費用負担の有無などが詳しく記載されています。
特に重要なのは、契約期間の確認です。借地契約においては原則として中途解約ができないので、更新のタイミングをしっかりと把握しておきましょう。
②地主に報告・交渉する
土地賃貸借契約書の内容を確認したら、地主に対して契約更新をしない旨を報告します。借地権や建物を買い取ってもらえないか、解体工事を行って建物を撤去する必要があるか、更地にするまでの期間などについて交渉を行いましょう。
返還時のトラブルを回避するためにも、細かな部分まで相談や報告を重ねることが大切です。
③解体業者の選定と取り壊し工事
借地を更地の状態にして返還することが決まったら、依頼する解体業者を探してください。解体費用は、業者によって大きく異なります。少しでもコストを抑えるためにも、複数の業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。
また、費用面だけに注目して業者選びをするのはとても危険です。取り壊し工事の際に発生する騒音や振動で近隣トラブルに発展してしまうケースもあるため、実績が豊富であるか、工事保険に加入している業者であるかを確認しましょう。
④更地の返還と建物滅失登記
更地の状態になったら、土地を地主に返還します。
また、解体完了から1カ月以内に、借地の所在地を管轄する法務局で建物滅失登記の手続きを行わなければなりません。この登記手続きを怠ると、10万円以下の罰金が科せられたり、取り壊した建物に対して固定資産税が課されたりしてしまう恐れがあります。
建物滅失登記を自分で行うのが不安な方は、土地家屋調査士に依頼するのがおすすめです。5万円程度の報酬を支払う必要がありますが、安心して登記手続きを終えられるでしょう。
3.借地を更地で返還する場合の解体費用相場
ここからは、借地を更地で返還する場合の解体費用の相場を詳しく解説します。
①解体費用は建物やエリアによって大きく異なる
解体にかかる費用の相場は、建物の大きさや依頼するエリアによって大きく異なります。
例えば、建物の構造によって、以下のように違いが生じます。
構造 |
費用相場(坪単価) |
木造 |
4万円 |
鉄骨造 |
6万円 |
鉄筋コンクリート |
7万円 |
30坪以上ある住宅を解体する場合は、最低でも100万円程度の解体費用がかかると覚えておきましょう。また、都市部に近づけば近づくほど、人件費がかかるため解体費用もより高額になる傾向があります。
②付帯工事によっては費用がさらに高くなることも
住居の解体に付随して次のような工事も必要になる場合、工事費が解体費用に上乗せされます。
・ブロック塀の撤去
・建材にアスベストが使用されていた場合の撤去
・地中埋設物が発見された場合の撤去
・建物の周辺環境が解体に適していない場合 |
「周辺環境が解体に適していない場合」には、重機やトラックが入れないケースが挙げられます。人力による解体となるため、作業員の数や工数が増えてしまい、通常時の倍以上の費用がかかることもあるでしょう。
③取り壊し費用を抑えるポイント
建物の取り壊しにかかる費用を抑えるために、以下のポイントを意識してください。
・3社以上に見積もりを依頼する
・現地調査に極力立ち会う
・補助金や助成金を利用する
・不用品は自分で処理する |
複数の解体業者から見積もりを依頼することで、相場価格を把握できるだけでなく、費用の妥当性もチェックできます。同じ条件で一番コストを抑えられる業者を見つけましょう。
ただし、極端に安い金額を提示してくる業者は悪質業者の恐れもあるため、注意が必要です。現地調査になるべく立ち会い、疑問点や不安な点を質問することが大切です。見積書の内容もしっかりと確認してくださいね。
その他にも、補助金や助成金の利用を検討したり、自ら不用品の処理をしたりなど、コストを削減できるような工夫をしていきましょう。
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4.まとめ
借地の返還方法や、更地にする際にかかる費用相場を詳しく解説しました。借地の返還には複数の方法があるため、自身に適した方法で返還しましょう。
借地権の売却を検討している方は、ぜひハウスウェルにご相談ください。ハウスウェルなら現在のお住まいの価値を見出し、適切なご提案やアドバイス、手厚いサポートを提供いたします。ぜひお気軽にお問い合せください。
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