一般的な整形地とは異なり、いびつな形をしている不整形地は買い手が見つかりにくく、売却しづらい傾向があります。売却を検討している方にとって、不整形地であることは大きなハードルとなるでしょう。
本記事では、不整形地についての基礎知識を解説します。不整形地の種類や売却しづらい理由、そしてスムーズな売却に向けて押さえるべきポイントを詳しくお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
1.不整形地の種類
不整形地とは、正方形や長方形のような一般的な形状・配置ではない土地のことです。
不整形地の代表的な例を見ていきましょう。
①旗竿地
旗竿地とは、道路に接している部分が狭く、奥側に敷地がある形状の土地です。長細い部分があることで活用しづらい上、道路に面している部分が2メートル未満だと接道義務を果たさず、新たな建築ができない場合もあります。
旗竿地は住宅密集地に多く、周囲を建物に囲まれているケースがよく見られます。日当たりや風通しが悪いため、土地としての評価額も低くなりがちです。
②L字型
L字型は、文字通りL字の形状をした土地です。敷地面積のわりに活用できる土地部分が少なく、希望する大きさや形の建物を建てられない恐れがあります。
③三角地
三角地とは、三角形の土地のことです。三角地に一般的な四角形の建物を建てようとすると、角の部分にデッドスペースが生まれてしまいます。土地の形状に合わせて建築する場合、自由設計となるため、建築コストが高額になりがちです。
狭小地や鋭角の土地の場合はさらに活用しづらく、買い手が見つかりにくい傾向にあります。
④傾斜地
敷地に高低差がある傾斜地も、不整形地の一種です。建物を建てる際には盛り土や切り土を施す必要があり、土地の改良工事のために多額のコストがかかります。
⑤がけ地
傾斜地のうち、傾斜角が30度以上の土地をがけ地といいます。土砂崩れや地滑りのリスクが高いため、自治体によっては活用規制がかけられていることも。急傾斜地崩壊危険区域や土砂災害警戒区域に指定されている場合もあります。
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2.不整形地が売却しづらい理由
ここでは、不整形地が売却しづらいとされる3つの理由を詳しく解説しましょう。
①土地を活用しづらいため
不整形地は整形地と比べて使い勝手が悪く、活用しづらい傾向があります。土地の形が整っていないので希望する間取りや大きさの建物を建てられず、土地を効率的に使えない恐れがあるのです。
さらに、整形地と同じような方法では建築できないケースが多く、建築コストが高額になってしまうリスクも考えられます。
②住宅ローンの融資を受けづらいため
土地や建物を購入する方の多くは、銀行からの借入をするでしょう。しかし、不整形地は買い手に敬遠される傾向があるため、評価額が低くなりがちです。担保価値の低い不動産では、金融機関から住宅ローンの融資を受けられないケースもあります。
このように、不整形地は買い手にとって資金調達しづらい土地であることから、売却には向いていないといえるでしょう。
③法律上の制限が多いため
不整形地には、法律上の制限が多く設けられています。建築基準法では、幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していない土地には建物の建築が認められていません。
旗竿地のように道路に接する部分が細い場合、この接道条件を満たさないケースが多いでしょう。建て替えができない土地は活用方法が制限されるため、買い手が見つかりづらいのです。
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3.不整形地を売却するためのポイント
不整形地を売却するために押さえるべきポイントを5つご紹介します。
①建物と土地をまとめて売却する
不整形地の場合、土地そのものが評価されづらい傾向にあります。建物があれば、土地と建物を合わせて売却することで需要が高まり、売却価格アップも期待できるでしょう。
無理に建物を取り壊すのではなく、建物と土地をまとめて売却するのがおすすめです。
②隣接する土地の一部を購入する
「幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならない」という接道義務を満たしていない不整形地の場合は、隣接する土地の一部を購入することを検討してみてください。
接道義務をクリアすれば、不整形地の利便性を高められます。土地を有効活用できる選択肢も広がるため、買い手にとってさまざまなメリットがもたらされるでしょう。
③隣地の所有者に売却する
旗竿地やL字型、三角地のような不整形地の場合は、隣地の土地所有者に売却できないか提案してみるのも一つの手です。隣地と組み合わせることで土地が広くなり、整形地としての活用の幅が広がります。
④不動産買取で売却する
不整形地を売却したい方は、不動産業者に買取してもらうという方法も視野に入れておきましょう。
不整形地の取り扱いを得意とする不動産業者なら、土地の評価額を正確に算出してくれます。想定していた以上の高値で取引されるケースもあるでしょう。
⑤分筆も選択肢に入れる
不整形地をスムーズに売却したい方は、分筆も選択肢に入れてみてください。分筆とは、一つの土地を複数に分けることを意味します。不整形地を一定の部分で分割し、整形地となった部分を売却するのです。
整形地に含まれなかった部分の土地は余ってしまうものの、正方形や長方形に整えられた部分はスムーズに売却できるでしょう。
分筆は、国家資格である土地家屋調査士に依頼する必要があります。分筆を検討している方は、全国各地にある土地家屋調査士会に問い合わせてみてください。
4.まとめ
不整形地の主な種類と、不整形地をスムーズに売却するためのポイントを詳しく解説しました。不整形地と一言でいっても、旗竿地やL字型、三角地などさまざまな種類が存在します。どの種類であっても不整形地は土地の評価額が低い傾向にあり、活用方法も限定されがちです。
不整形地をスムーズに売却するためには、売り出し価格を下げたり、土地を分筆したりといった工夫が必要です。不整形地の売却を検討している方には、不整形地の取り扱いを得意とする不動産会社に相談することをおすすめします。
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