離婚後の子どもとの面会交流について、夫婦の話し合いだけでは決まらないことも多いのではないでしょうか。そんなとき、家庭裁判所に「調停」や「審判」を申し立てることができます。
今回は、面会交流の「審判」について詳しく知りたい方のために、面会交流調停との違いや審判の流れ、どのくらいの期間がかかるかなどを解説していきます。
また、審判が下されたあと、夫と面会交流させたくなくて「面会拒絶」をした場合の注意点もお伝えします。子どもの明るい未来のために、面会交流で失敗しないコツをしっかりと押さえておきましょう。
1.「面会交流調停」と「面会交流審判」の違い
子どもとの面会交流を決める方法には「調停」と「審判」があります。ここでは、2つの違いについて解説します。
①話し合いで決まるか否か
調停手続きとは、夫婦が話し合って合意するために家庭裁判所で行われる「話し合いの場」のこと。調停委員が、子どもとの面会に対する夫婦双方の意見をさまざまな資料をもとに聞き取ります。
その話し合いで意見がまとまらない場合には「調停不成立」となり、審判へと進みます。
一方、審判手続きとは、家庭裁判所の裁判官により審判を得る方法。裁判官による審判が確定すれば、内容に不満があったとしても命令内容に拘束されます。分かりやすく表現すると「裁判での判決」のようなものです。
②それぞれ行われる場所が違う
調停手続きが行われる場所は、会議室のような個室です。夫婦別々の部屋で待機し、調停委員に呼び出されて聞き取りが行われます。
一方、審判手続きは家庭裁判所の法廷で行われます。ドラマや映画でよく見る「裁判」をイメージすれば分かりやすいですね。
③調停は調停委員、審判は裁判官
調停では、2人の「調停委員」が夫婦の間に入ります。そして、夫婦それぞれの意見や主張を聞き、進めていく流れです。
一方、審判手続きは「裁判官」が行います。基本的に、審判の決定を下すのは裁判官の判断。夫婦から(弁護士に依頼している場合は弁護士から)提出された証拠や資料をふまえ、主張された内容に基づき決定します。
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2.【面会交流審判】主な流れ&期間
ここでは、面会交流審判の主な流れを見ていきましょう。
①調停が不成立→審判手続きに
まず、面会交流についての話し合いでもある「面会交流調停の申し立て」を家庭裁判所に対し行います。
夫婦の意見が食い違い、調停が不成立になった場合は、自動的に審判手続きへと移行。面会交流審判へと進みます。
②面会交流調停で出された資料や主張をもとに審理
面会交流審判は、
step1:面会交流調停での資料やお互いの主張内容をもとに審理が行われる
step2:裁判官により審判が下る
という流れです。
③お互いの主張が出尽くしたら決定=審判
面会交流調停の中でお互いが意見を出し尽くしている場合、「1回の審判期日」で審理が終結するケースも。1回で審理が終結する場合は、およそ45日〜60日程度で審判が下ります。
もちろん、1回の審理では終わらず数回にわたって行われるケースもあります。
裁判官が「審判を下すための情報や資料が不足している」と思えば、
・家庭裁判所の調査官による面談
・子どもの意向(面会に対してどう思うかなどの心情)の確認
・子どもとの関係などの状況調査
・試行的面会交流(面会交流を試験的に行い、交流の様子を観察したり交流がうまく行くようにアドバイスしたりすること)
などを実施。この場合、審判が下されるまでの期間は4ヶ月〜6ヶ月以上となり、長いスパンでの審理となります。
④審判に不満があれば「不服申し立て」を
下された審判に不満がある方は、「不服申し立て(即時抗告)」を高等裁判所に対して行うことができます。即時抗告をする場合は、2週間以内に家庭裁判所へ「高等裁判所宛の抗告申立書」を提出しなければなりません。
3.面会交流命令に背き「面会拒絶」をした場合
面会交流の審判が決定すると、「母親は父親に対して子どもとの面会交流を毎週1回実施しなければならない」というような命令が下ります。基本的に、命令が出れば法的に従わなければいけません。
では、この命令を守らずに「面会拒絶」した場合、どうなるのでしょうか。
①裁判所から履行勧告が来る
夫の申し出により、家庭裁判所は義務の履行状況、つまり「面会交流をちゃんとさせているか」を調査します。その結果、家庭裁判所から「履行勧告※1」が来る場合があります。
履行勧告には強制力がないため、無理やり面会交流をさせることはできません。しかし、家庭裁判所が間に入ることで面会交流の実施を促す効果があります。
※1:面会交流を行うようにお願いをすること
②相手から再び調停や審判の申し立てをされる
面会交流を拒絶した場合、相手から再度「調停」や「審判」の申し立てをされることも。
審判が下ったにもかかわらず拒絶してしまったら、相手は「なぜ面会を拒絶するんだろう……」と不服に感じますよね。そこで改めて相手が面会交流調停や審判を行い、合意を求めてくることがあるのです。
③強制的に会わせざるを得ない状況に
調停が成立すれば「調停調書」が作成されます。調停調書とは、調停の中で決定した合意内容を夫婦で確認し、作成した書類のこと。夫婦2人で合意しているため、あとになって不服を申し立てることはできません。
そのルールを破った場合、強制執行の一種である「間接強制※2」により面会交流を強制的に実施せざるを得ない状況になります。「お互いに一度約束したことはちゃんと守りましょう」ということですね。
※2:定義は「債務者に対して、債務不履行の場合に一定額の金銭の支払いを命じることにより、債務者に心理的な強制を与えて債務の履行を促すもの」。面会交流に当てはめると、「面会を○○日までに行わなければお金を支払ってください」という心理的な負担を与えて面会交流を促すことをいいます。
④損害賠償請求をされる恐れも
面会交流を拒絶すると、夫から損害賠償請求をされる恐れもあります。とはいえ、間接強制ほどの強制力はないため、応じるか応じないかの争いになることが多いでしょう。
損害賠償請求に対しては、どんな手段を取るべきか「専門的な知識」が必要です。あなた1人で考えずに弁護士などに相談することをおすすめします。
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4.面会交流審判は弁護士に依頼したほうが良い
面会交流に関しては専門的な知識も必要。そこで、プロである専門家に相談しましょう。ここでは、弁護士に面会交流審判をお願いするメリットをお伝えします。
merit1:審判に必要な証拠収集や法的な主張をしてくれる
面会交流審判に必要な書類や証拠物を集めるのはとても大変ですが、弁護士に依頼すればすべて行ってくれます。
また、審判では法的な根拠に基づいた主張をあなたの代理人として行ってくれます。争いがスムーズに解決する可能性が高まり、安心ですよ。
merit2:相手や裁判所との「窓口」になってくれる
さらに、弁護士があなたの代わりに「窓口」になってくれます。
・裁判所での調停の期日や場所の確認
・話したくない相手(夫)とのやりとり
とくに相手から暴力や虐待などがあった場合、話をするだけでも大きなストレスになってしまいますよね。弁護士に一任することで、ストレスの負担を減らせるでしょう。
5.まとめ(弁護士と提携している不動産会社に相談しよう)
今回は、面会交流審判の流れや注意点について解説しました。
面会交流に関しては専門的な知識が必要です。流れを把握できたとしても、安易に面会を拒絶すれば強制的に面会交流を実施させられたり、損害賠償請求をされたりしてしまって後味の悪い状況になりかねません。
また、今後の住まいのことや財産分与のことなど、不動産に関する悩みが出てくる方も多いでしょう。不動産会社のハウスウェルなら弁護士とも提携しているため、ワンストップであなたの悩みを解決することができます。ぜひ一度相談してみてくださいね。
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