夫の不貞行為や暴行などが原因で離婚をする場合、妻には慰謝料を請求する権利があります。
「相手方が経済的に余裕がない」「相手方が感情的になってまともに話ができない」などの理由で、どうしても慰謝料の請求額を下げてしまったり、分割払いを許可したりと妥協することもあるかもしれません。
しかし、離婚後は生活費など多額のお金が必要になるため、妥協せずに少しでも多くの慰謝料を請求することをおすすめします。
今回は、離婚時に慰謝料を確実に請求する方法を解説します。大事なポイントを詳しくお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
1.慰謝料請求を分割払いにするデメリット
慰謝料支払いにおいてよくあるパターンは、相手方が経済的な理由で分割払いをお願いしてくるケースです。
離婚の話し合いを長引かせたくないからと、妥協して分割払いを承認する人は少なくありません。しかし、実は分割払いにはリスクが伴います。
ここでは、慰謝料請求を分割払いで済ませる際のデメリットをご説明します。
①相手方との関係が続く
慰謝料を一括払いで払ってもらえれば、あとはもう相手方に用はないため、会うことも連絡することもありませんよね。しかし、分割払いになると、離婚が成立しても間接的に関係性は続きます。
離婚後も特に後腐れのない関係、顔を合わせてもストレスにならない関係なら、分割払いでも問題はありません。一方、不貞行為や暴行などが原因で離婚した場合、完全に縁を切りたい相手とつながっているのは精神的につらいことです。
つらい夫婦生活を忘れたくて新しい人生を歩もうと努力していても、慰謝料分割払いという縛りがあると、分割で慰謝料をもらうたびに嫌なことを思い出してしまうかもしれません。
また、分割払いで縁が切れないことが、相手方と顔を合わせるきっかけになってしまう可能性もあります。分割払いが延々と続く限り、落ち着かない生活が続くでしょう。
②踏み倒しの可能性がある
分割払いの場合、相手方から支払いの踏み倒しをされる恐れもあります。相手が金銭面にルーズだと、分割払いの支払いの延滞や滞納が続き、最終的にはすべての支払いを終える前に消息不明になってしまうことも。
金銭面がルーズな人は他にも消費者金融などから借金をしていて、慰謝料の支払いにまで手が回らないといったケースもあります。そのような人物に分割払いをお願いしても、毎月確実に支払いをしてくれるとは思えませんよね。
踏み倒しや慰謝料支払いの延滞、滞納が起きた場合は、弁護士などを通じて法的な処置をとらなくてはいけません。それで回収ができたとしても、手続きなどで手間がかかってしまいます。
また、金銭面にルーズな人はあらゆる状況でお金を借りることに成功してきて、交渉術に長けているタイプが多く見られます。慰謝料請求の話し合いの際に一括払いを要求しても、うまく丸め込んで分割払いを承諾させようとしてくるパターンも多いので注意しましょう。
③催促に手間がかかる
慰謝料を一括でなく分割払いで承諾した場合、相手方が毎月振り込んでくれれば問題ありませんが、支払いの延滞や滞納が目立つようになるとこちら側にも手間がかかります。
まず、支払日までに振り込みが確認できなかった場合、こちらから相手方に連絡をしなければいけません。すぐ連絡がつかないと、何度も連絡する羽目になってしまいます。
延滞・滞納が続いた場合にこちら側が行なえる最終手段は、強制執行や差し押さえ、相手方の勤務先や親族への連絡などです。これらの方法をとれば相手方も従うしかなくなるため、慰謝料の回収は実現できるでしょう。しかし、強制執行などを実行するには手続き必要で、手間がかかります。
慰謝料の支払いは離婚時にお互いの話し合いで合意したことなので、本来は「こちら側は受け取る」「相手方は支払う」というのが当然なはず。それなのに支払いの延滞・滞納が続き、やらなくてもよい催促をしなければならないのはストレスですよね。
面倒な作業が日常生活に支障をきたす恐れもあります。
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2.離婚方法は協議離婚がおすすめ。しかしデメリットも
離婚をする際は、慰謝料や財産分与、親権、養育費などさまざまな問題について夫婦間で話し合いをしなくてはいけません。
不貞行為や暴行など相手方に離婚の原因があるにもかかわらず、慰謝料などの支払額の減額や支払い拒否をされた場合は、調停離婚や裁判離婚を行なえば確実に請求できます。
ただし、調停離婚や裁判離婚には手間と費用がかかります。一方、話し合いによる協議離婚の段階ですべての問題を解決できれば、手間も費用もかかりません。
「調停・裁判離婚をして周囲に離婚のゴタゴタを知られたくない」「夫婦間の面倒なことは早く終わらせたい」などの理由で、協議離婚だけで離婚成立を済ませたいと考える人は多いでしょう。
ただし、手間をかけたくない、早く済ませたいという気持ちを優先して相手方の希望をそのまま受け入れてしまうと、慰謝料や財産分与などが本来もらえるはずの額よりも少なくなる恐れがあります。
慰謝料などのもらえる金額が少ないと、離婚後の生活に支障が出てしまうかもしれません。離婚時の慰謝料の請求は「妥協をしない」「面倒くさがらない」という気持ちで行なうことが大切です。
3.確実に慰謝料を請求する方法
協議離婚の段階でこちらが妥協せずに慰謝料を請求するためには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、確実に慰謝料を請求する方法をご紹介します。
①裁判になったときの大変さを伝える
相手方がもしこちらの提示する慰謝料の請求額に応じなかったら、裁判をする流れになること、離婚のゴタゴタで裁判をする事実が周囲に知れ渡ると社会的信用をなくすかもしれないことを伝えましょう。
そして、裁判がいかに手間と費用、時間がかかるものであるかを伝え、裁判にかかる具体的な費用や期間などを提示すると効果的です。裁判がいかに大変であるかを伝えることが重要です。
②強制執行、差し押さえに関する情報を伝える
慰謝料を分割払いにして支払いの滞納や延滞があった場合、強制執行や差し押さえも可能であることを相手方に伝えましょう。
強制執行を実施すれば、勤務先の給与・銀行口座の差し押さえが可能です。相手方の生活に支障をきたすだけでなく、社会的信用度も失うはず。そのようなリスクをしっかりと相手に説明することが大事です。
③交渉は弁護士にお願いする
協議離婚で相手方と話し合いをする際は、夫婦間のみの対面ではなく弁護士に交渉代行依頼をすればスムーズに話し合いが進みます。
弁護士は法律の専門家であり、高度な知識と交渉スキルを持っているため、相手方も納得せざるを得ないでしょう。
なお、弁護士を仲介しての話し合いでも、相手方の経済的な理由により請求希望額の合意や一括払いを拒否されるケースがあります。その場合は、弁護士を仲介人として相手方にさまざまな提案をしてみてください。
・頭金だけを払ってあとは分割で
・分割払いでも連帯保証人をつける
・財産調査
・親に連絡
弁護士に相談をすれば、上記のような妥協案、アイデアを提示してくれますよ。
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まとめ
離婚時に慰謝料の請求額を妥協して少なくしてしまうと、離婚後の生活で経済的な苦労をする羽目になりかねません。慰謝料請求額を少しでも多くするために、妥協せずしっかりと交渉することが大事です。
ハウスウェルは離婚問題を多く手がけた実績のある弁護士事務所と提携しているため、離婚に関する問題にも対応可能です。また、離婚後の新しい住まい探しについてもお気軽にご相談ください。離婚後の女性にふさわしい物件紹介もできますよ。
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