離婚後の住居を確保することは、その後の生活基盤を整えるために重要な課題です。離婚前にマイホームを購入している場合、旦那名義で住宅ローンを組んでいる方も少なくないでしょう。
本記事では、離婚後に旦那名義の家に住み続けるリスクや、住み続ける場合の対処法を解説します。金銭的な事情で旦那名義の物件に住み続ける場合に相談すべき窓口もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
1.【結論】離婚後も旦那名義の家に住み続けるのは避けるべき
住宅ローンを完済している場合は、離婚時の財産分与で簡単に名義変更ができます。しかし、ローン返済中に離婚する場合は、完済するまで住宅ローンの名義変更はできません。
旦那名義の物件に住み続けることは、さまざまなトラブルやリスクが生じてしまう原因となり、妻側にとって大きなリスクです。
ここでは、離婚後も旦那名義の家に住み続ける際によくあるトラブルをご紹介しましょう。
①売却や契約を自由にできない
離婚後、しばらく旦那名義の家に住み続けたあと、仕事の都合や両親との同居などで引越しをするケースも少なくないでしょう。しかし、旦那名義の物件を妻の意思で売却、賃貸契約することはできません。引越しをする際には旦那に連絡を取り、家の処分方法を決めなければならないのです。
旦那と縁を切りたいと考えている人や、家を賃貸物件として活用したい方は、離婚時に名義変更をする必要があります。
②勝手に家を売却されるリスクがある
険悪な状態で離婚した場合、旦那が妻や子どものことを考えずに、自分の都合で家を売却してしまう恐れがあります。家の名義が旦那のままだと、旦那の意思で、家を第三者に売却したり貸し出したりできるためです。
旦那が所有者なので、家に住み続けている妻の同意や了承を得る必要はありません。また、売却に出されたとしても、妻側から売却の取り消しを申し出ることはできないのです。
③住宅ローンを滞納されるリスクがある
住宅ローンは、20〜30年という長い期間にわたって返済し続ける必要があります。離婚時に夫側が住宅ローンを払い続けると約束したとしても、収入が減少したり、病気で就労不能の状態になったりするケースも考えられます。つまり、完済まで支払い続けられる保証はありません。
住宅ローンの滞納が発生すると、催促状や督促状が届き、その後一括返済するよう求められてしまうでしょう。最悪の場合、家が差し押さえられて競売にかけられてしまう恐れもあります。このように、旦那名義の家に住み続けることで、住む場所を失うリスクが高まるのです。
④住宅ローンの規約違反となり、残積を一括請求されるリスクがある
ほとんどの住宅ローンは、契約者本人が居住していることを条件としています。そのため、離婚をきっかけに契約者である旦那が家を出てしまうと、規約違反とみなされてしまうでしょう。
規約違反と判断された場合は、ローンの残積を一括返済するよう求められます。返済できない場合は、差し押さえの対象となってしまうのです。
⑤母子手当がもらえなくなるリスクがある
住宅ローンの支払いを養育費として旦那に依頼する場合、母子家庭がもらえるはずの手当を受給できなくなる恐れがあります。児童扶養手当には所得制限が設けられており、養育費も含まれた収入金額で受給の可否が判断されるためです。
月々の住宅費が補助されているとみなされると、その支払金額によって所得制限を超えてしまうリスクがあります。自治体によって条件は異なるものの、手当がもらえなくなるのは母子家庭にとって大きな痛手となってしまうでしょう。
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2.離婚後も旦那名義の家に住み続ける方法
離婚後も旦那名義の家に住み続けることで、さまざまなリスクや問題が生じるとわかりました。離婚後に旦那名義の家に妻が住み続ける場合は、「住宅ローンの残積の有無」がポイントとなります。
ここからは、離婚後も安心して旦那名義の家に住み続ける4つの方法をご紹介しましょう。
①住宅ローンがなければ財産分与で家を取得する
住宅ローンを完済している場合は、家の名義変更を行ったうえで、財産分与で家を取得することが可能です。夫婦で形成した財産を半分に分けるのが財産分与の基本的な考え方ですが、必ず等分しなければならないわけではありません。夫婦の話し合いによって、割合を変更できます。
ただし、財産分与の対象は、あくまでも婚姻期間中に形成した財産に限られる点に注意しましょう。旦那が独身時代に購入した物件や親から相続した物件は、財産分与の対象外となるため気をつけてください。
②住宅ローンを現金で一括返済する
現金や預貯金で住宅ローンの残積を一括完済すれば、金融機関から規約違反を問われることもなく、安心して住み続けられます。
しかし、一括返済するためのまとまった費用をすぐに用意できるという人は限られるでしょう。自宅以外の財産を売却して資金を捻出したり、親族から資金援助してもらったりなどの金策が必要です。
家の名義変更手続きのやり方がわからない場合は、司法書士に依頼するのがおすすめです。手間や労力をかけず、確実に名義変更をしてもらえます。
③住宅ローンを借り換えて妻名義に変更する
もしも旦那が住宅ローンを契約している金融機関の承諾が得られれば、旦那から妻への名義変更ができます。しかし、旦那の収入や属性に基づいて審査が行われた以上、基本的に名義変更は認められません。
そこで、住宅ローンの名義変更ではなく、妻名義で住宅ローンを借り換えるという方法があります。ただし、借り換えであっても通常通りローンの審査は行われるため、収入や預貯金の有無、属性を確認されると覚えておきましょう。
④両親や親族に住宅ローンを立て替えてもらう
金融機関からではなく、親族から融資を受けて住宅ローンを完済するという方法もあります。資金にゆとりのある親族がいる場合は、住宅ローンの残積を立て替えてもらうことも検討してみてください。
住宅ローンを完済して不動産の名義変更を行い、立て替えてくれた親族と金銭消費賃借契約を結びます。この契約を結ばないと、ローンの残債分を贈与されたとみなされてしまい、贈与税の課税対象となるため注意しましょう。
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3.離婚後に旦那名義の家に住み続けたい人が相談すべき窓口
離婚後も旦那名義の家に住み続けたい場合に相談すべき、3つの窓口をご紹介しましょう。
①弁護士
離婚後の住宅問題をはじめ、離婚にともなうさまざまなトラブルに関する相談をするなら、弁護士がおすすめです。離婚協議書や公正証書の作成、住宅ローンの残積が支払えない場合の債務整理なども相談できます。
しかし、弁護士は不動産に関する専門家ではないため、任意売却を検討している場合は不動産会社にも相談しなければなりません。また、弁護士への相談料は高額なケースがあるため、事前に相場や費用を調べたうえで依頼しましょう。
②金融機関
住宅ローンについては、ローンを組んでいる金融機関に相談するのがおすすめです。
名義変更や連帯保証人の解除など、契約時と異なる条件が発生した場合は、変更手続きをしなければなりません。旦那が同居していなくても住宅ローンを返済できる旨を金融機関に説明し、納得してもらえれば、一括返済を求められずに済むでしょう。
金融機関の承諾が得られれば規約違反とならないため、安心して住み続けられます。
③不動産
不動産会社のなかには、離婚にともなう家の任意売却や交渉のノウハウを持つ専門家が在籍しているところもあります。弁護士事務所と提携し、離婚に関するトラブルや離婚後の生活をサポートしてくれる業者もあるため、気軽に相談してみてください。
4.まとめ
妻が離婚後に旦那名義の家に住み続けるケースは、決して珍しくありません。しかし、住み続けることでさまざまなリスクや問題が生じます。特に、住宅ローンを支払えなくなると、強制退去させられて住居を失うことにつながってしまうでしょう。
安心して住み続けるためには、旦那名義から自分名義への変更が必要です。もし名義変更やローンの借り換えが難しいなら、トラブルを回避するためにも家を売却して財産分与することをおすすめします。
離婚後の住まいにまつわる問題や離婚後の生活に不安がある方は、ハウスウェルまでご相談ください。ハウスウェルは離婚案件を多く手がける弁護士とのネットワークを持っており、離婚に向けた諸々の手続きをはじめ、新生活に向けたサポートまで行えます。お気軽にお問い合わせください。
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