不動産の売却を考えている方にとって、最も気になるのが税金の問題ではないでしょうか。売却益に対してどのくらいの税金がかかるのか、また、どのような節税対策が可能なのか、具体的に知りたいところです。
この記事では、2025年の最新の税制に基づいて、不動産売却後の税金について、特例措置を活用した効果的な節税方法をわかりやすく解説していきます。
1. 不動産売却にかかる税金の基礎知識

不動産を売却すると、様々な種類の税金が関係してきます。まずは基本的な税金の仕組みについて理解しましょう。
①不動産売却時にかかる税金の種類
税金の種類 |
概要 |
譲渡所得税(所得税) |
売却益に対して課される税金 |
住民税 |
地方税として課される税金 |
復興特別所得税 |
東日本大震災からの復興財源として課される税金 |
固定資産税 |
売却年度の精算が必要となる税金 |
これらの税金は、売却価格や保有期間によって税率が変わってきます。特に譲渡所得税は、5年超の保有(長期譲渡所得)と5年以下の保有(短期譲渡所得)で大きく税率が異なりますので注意が必要です。
②税金の計算方法
【計算式】
譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用 + 特別控除額)
取得費は実際の購入価格のほか、購入時の諸経費や改修費用なども含まれます。また、取得価格が不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費として計算することも可能です。
③確定申告の必要性と期限
項目 |
内容 |
確定申告期限 |
売却した年の翌年の2月16日から3月15日まで |
必要書類 |
売買契約書、登記簿謄本、取得費の証明書類など |
申告場所 |
所轄の税務署 |
※専門的な内容でわからないことがあれば、税理士に相談することをお勧めします。
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2. 不動産売却時の特例措置と節税方法

不動産売却時の税負担を軽減するための特例制度があります。条件を満たすことで、大きな節税効果が期待できます。
①居住用財産の3,000万円特別控除
マイホームを売却する際に利用できる重要な税制優遇制度です。売却による譲渡所得から3,000万円を控除できる特例で、多くの方の税負担を大きく軽減することができます。
【適用条件】 |
現に自分が住んでいる家屋 |
売った家屋や敷地等について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと |
売った年、その前年および前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと |
※その他適用条件については専門家に相談することをお勧めします。
例えば、4,000万円の譲渡所得が発生した場合、3,000万円を控除した1,000万円分のみが課税対象となります。
また、この特例は確定申告を行うことで適用され、一生に一度だけ使用できます。
なお、この特例は他の特例措置(買換え特例など)と併用することはできませんので、どちらが有利かよく検討する必要があります。
この特別控除は、確定申告時に申請する必要があります。また、過去に同じ特例を使用している場合は、適用できない場合があります。
②買換え特例のメリット
住み替えを考えている方に特に有効な特例制度です。
以下の条件を満たす場合、譲渡所得の課税を繰り延べることができます:
基本要件
適用期限 |
2025年12月31日までの居住用財産の譲渡 |
譲渡対価 |
1億円まで |
買換え期間
前年の1月1日から譲渡した年の翌年12月31日までに、新しい住宅を購入する必要があります。
購入する住宅の条件
新しく購入する住宅は、購入者が住むものでなければなりません(借地権も含みます)。
中古住宅の条件
※耐火建築物でない場合、建築から25年以内であったり、売却する物件の年末までに耐震基準に適合していることを証明するか、税務署から承認を得て、買換えの期限を延長することが求められます。
この特例を活用することで、一時的な税負担を抑えながら住み替えを実現できます。
③その他の重要な特例制度
- ・特定の居住用財産の買換え特例
住宅の買い替えの際に、譲渡価額が1億円以下であることなどの要件を満たせば、譲渡益の課税を繰り延べることができる制度です。特に、住み替えによる住環境の改善を支援する目的で設けられており、マイホームの売却益に対する税負担を軽減できます。
- ・相続した土地建物の譲渡の特例
相続した土地や建物を相続開始から3年10ヶ月以内に売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。相続財産の早期の有効活用を促進する目的で設けられており、相続に伴う二重課税の調整を図ることができます。
・被災地の土地等を譲渡した場合の特例
災害により被災した土地や建物を売却する際に適用できる特例制度です。被災者の生活再建を支援する目的で、譲渡所得から最高2,000万円を控除することができます。また、買い替えを行う場合は、課税の繰り延べも可能となっています。
特例措置の適用についてご相談はこちら
3. 具体的な税金計算例とシミュレーション
【計算例:マイホーム売却の場合】 |
売却価格 |
5,000万円 |
取得価格 |
3,500万円 |
譲渡費用 |
200万円 |
居住期間 |
15年 |
譲渡所得 = 5,000万円 - (3,500万円 + 200万円 + 3,000万円)
= △1,700万円(3,000万円特別控除後)
税金を抑えるためのポイント
- ・売却のタイミングを慎重に検討する
- ・適用可能な特例制度を最大限活用する
- ・取得費や譲渡費用の記録を適切に保管する
- ・専門家に相談して最適な方法を選択する
4. まとめ
不動産売却時の税金対策のポイント:
・売却前に適用可能な特例制度を確認する
・計画的な売却時期の検討が重要
・必要書類は早めに準備する
・専門家への相談を活用する
税金対策は、売却前の準備が重要です。早めに計画を立て、適切な対策を講じることで、大きな節税効果が期待できます。
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