住んでいる家や相続した土地がいくらで売れるか、詳しく分からない人も多いのではないでしょうか。そんなときは、専門家である不動産会社に不動産の査定を依頼するのが一般的です。
不動産会社に売却を依頼する媒介契約の期間は最長3ヶ月であることから、不動産会社が出す査定額は「3ヶ月以内に売却できる価格」であることが多いでしょう。しかし、不動産の売買金額は「売主と買主が納得した価格」で決まるので、正しい査定額というのは存在しません。
そのため、きちんと不動産価格を査定してくれる会社を選び、後悔しない不動産売却をすることが大切です。この記事では、不動産会社の選び方や訪問査定が大事である理由、訪問査定の流れを解説します。
1. 査定方法には2種類ある
不動産価格の査定方法は「机上査定」と「訪問査定」の2種類。2つの査定方法にはそれぞれ違いがあり、目的に応じてどちらの査定で依頼するか決まります。
この2つの査定方法について、それぞれの特徴などを具体的に紹介していきます。
①机上査定
現地に行かず、土地の面積や建物の築年数などの情報を登記簿謄本などの資料で確認し、不動産価格を査定する方法を机上査定といいます。
依頼したその日や3日程度で査定額を知ることができるので、「目安だけを知りたい人」や「急いで金額を知りたい人」にはおすすめの方法です。
ただし、書類上の情報のみを参考に査定額を出すため、中には根拠のない金額を適当に査定してくる会社も。このような会社は依頼者の目を引くために高い金額を提示して依頼を勝ち取ろうとするため、依頼してしまうと長い間売れないまま値下げを繰り返していくことになりかねません。
5~6社の不動産会社に机上査定を依頼し、その中で平均的な査定額を出した数社に訪問査定を依頼すると良いでしょう。
②訪問査定
訪問査定は、実際に現地に訪問して査定額を算出する方法。建物の場合は立ち会いが必要で、査定額が出るまで1週間~10日ほどかかりますが、現地の外装や内装設備などを細かく確認するので精度の高い査定が期待できます。
また、不動産会社の担当者と会うことができるので、物件のプラスやマイナスの情報を直接伝えやすく、より正確な査定額を反映してもらえます。
「実際に売却することが決まっていて、正確な金額を知りたい人」には訪問査定がおすすめです。
2. 訪問査定が大切な理由
机上査定と訪問査定にはそれぞれ特徴がありますが、本当に不動産を売却したいと考えている人は訪問査定を依頼しましょう。ここでは、訪問査定が大切な理由を2つ紹介します。
①訪問査定なら正確な金額が分かる
訪問査定では土地の状況や建物の状態を実際に確認し、それらを不動産会社の担当者が細かく評価して査定価格を出します。
家の外壁の状況や家の中の劣化状況、日当たり、周辺の騒音や臭いなどの環境、道路と敷地との接道や隣地との境界など、現地に行かなければ分からないことがたくさんありますよね。
机上査定では土地の面積や建物の築年数だけで金額を出しますが、訪問査定は現地で細かな状況を確認して査定額を出します。そのため正確な金額が査定額として出やすくなり、机上査定の金額よりも増減することがよくあるのです。
②どんな担当者か知ることができる
机上査定ではメールや電話のやり取りだけで査定価格が出ますが、訪問査定では実際に不動産会社の担当者と会うことが可能。担当者と直接会うことで、売却する不動産の欠点やアピールポイントなどを伝えることができます。
また、本当にその担当者が自分の不動産を売却できる戦略や力を持っているかが分かります。例えば「売却する不動産の購入者をどのように集客するか」。インターネットを利用していないような昔ながらの町の小さな不動産会社であれば、地元の周辺で物件を探している見込み客を多く抱えているかもしれません。
一方、インターネットやチラシなどの広告媒体を豊富に使用している会社であれば、幅広い顧客を獲得する可能性が高くなります。
また、「担当者が周辺の地域に詳しいかどうか」も確認することができます。不動産会社が周りの地域のことをよく知らないと、購入希望者にもその地域の魅力や不動産の魅力を伝えることはできませんよね。
残念なことに地域に詳しくない不動産会社の担当者も多くいますので、少なくとも「小学校校区や中学校校区がどこなのか」「近くのスーパーや病院の場所」などを把握できているか確認してみましょう。
3. 訪問査定の流れ
ここまで訪問査定の魅力を解説してきました。ここでは、訪問査定までの流れがどのようになるのかを詳しく解説します。
step1:不動産会社に連絡する
机上査定をお願いした不動産会社の中から、平均的な金額を出した3~4社くらいに訪問査定の依頼をします。複数社に依頼をすることで金額の比較ができ、数社すべてにお願いするか、1社だけにお願いするかの選択肢も増えるのでおすすめです。
ホームページや問合せフォームからも依頼ができるので、日時の設定を行いましょう。
また。訪問査定では物件の正確な情報を提供する必要があるので、様々な書類を準備する必要があります。事前に下記の書類を準備しておくと査定がスムーズですよ。
①身分証明書
②権利書
③固定資産税評価証明書
④マンションの管理費や修繕積立金が分かる資料
⑤マンションの管理規約
⑥購入時の図面や売買契約書
⑦修繕やリフォームなどの契約書
⑧ローン残高証明書など
step2:物件の外装や内装、設備を確認してもらう
不動産会社が訪問し、建物の外壁や室内の状況、水回りの設備などを確認します。不動産会社によっては掃除の状況を評価項目に入れている場合もあるので、あらかじめ部屋の片付けや掃除をしておきましょう。
まだ物件に住んでいる人は、家具や家電、食器などの生活用品をある程度片付けておくだけでも印象が違います。
step3:不動産会社が査定書を作成する
訪問査定が終わると、不動産会社が査定書の作成に取り掛かります。法務局に行って登記簿謄本や地図などの資料を取り寄せたり、役所や役場で道路の調査や用途地域の確認をしたりと様々な物件調査を行うため、査定書作成には1週間~10日ぐらいかかります。
step4:査定報告を受ける
査定書が出来上がったら不動産会社から査定報告を受けます。このとき、不動産の状況報告とあわせて売却物件の用途地域や水害の発生率、地震の揺れやすさ、人口統計などの情報をもとに細かく分かりやすく報告してくれる会社は、おすすめできる会社です。
査定報告後、売却金額を決め、話が進めばその場で媒介契約を締結して売却活動がスタートします。ただし、不動産会社が報告をする査定金額はあくまでも推奨金額。不動産会社が査定した金額をもとに、最終的にいくらで売却するかを決めるのは売主であるあなたです。
4. 訪問査定を依頼する不動産会社の見極め方
机上査定でどの不動産会社も同じような金額だった場合、何を基準に訪問査定を依頼する会社を選べばよいのか悩みますよね。ここでは、訪問査定をしっかりしてくれる不動産会社を見極める3つのポイントを説明していきます。
①どんな種類の不動産売却に強いのか
不動産会社によっては得意なジャンル、不得意なジャンルがあります。戸建の売却に強い会社、マンションの売却に強い会社、または投資用物件の売却に強い会社など様々なので、自分の物件の売却が強い会社かどうかを確認しましょう。
確認方法としては、ホームページやポータブルサイトにどんな種類の物件が多く出ているのかや、どんな種類の売却の実績が多くあるのかを見てみてください。
②実績があるか
不動産会社のホームページなどには今までの実績が書かれています。実績が多い会社であれば 不動産の売り方をよく知っていたり、そのエリアでの購入希望者の数が多かったりというメリットがあります。
逆に実績があまりない会社であれば、今までの売却の経験が少なく見込み客の数も少ない可能性が高いでしょう。
③担当者の対応
会社によっては、売却までのスキームを細かく説明してくれる担当者がいます。このような優秀な担当者は不動産売却にも精通しており、経験も豊富で期待できると言えるでしょう。
メールや電話でのやり取りの中でマメに連絡をしてくれたり、細かいところまで調べてくれたりする営業マンは、実際に訪問査定をお願いしても納得のいく金額や信憑性のある金額を出して購入希望者との架け橋になってくれます。
期限を守らなかったり、連絡をしてもすぐには返事がなかったりする担当者は、実際に売却をお願いしても放っておかれてしまう恐れがあるので気をつけましょう。
5. まとめ
ここまで机上査定と訪問査定の違いやそれぞれの特徴を解説してきました。不動産売却を考えるときには、目的に応じて査定方法を選びましょう。
実際に不動産を売却したいと考えている人には、正確な金額が分かる訪問査定がおすすめ。また、どの不動産会社にお願いするかが売却成功のカギです。信頼できる不動産会社に訪問査定を依頼し、安心してお任せしましょう。
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