「マイホームを建てよう」「マンションを買おう」と思い立ったときに、たいていの人は金融機関からお金を借ります。金融機関から住宅ローンを借りて、家の建築費や土地代を住宅メーカーや売主に支払い、金融機関から借りたお金を毎月返済していくのが一般的ですよね。
しかし、親族間での売買や再建築ができない土地などの購入をしようと思った場合、金融機関の住宅ローン審査に通らず、夢のマイホームを諦めてしまう人も多くいるという現実があります。そんなときに役に立つのが「割賦販売での契約」。
買主の費用負担が軽減できるため、親族間の不動産売買や訳あり物件などの購入をする人にとって割賦販売が選択肢の一つになります。今回は、割賦販売とは何かや割賦販売で不動産を売却する方法、注意点をご紹介していきます。
1.割賦販売ってなに?
不動産の割賦販売とは、引渡時に代金をまとめて支払うのではなく、分割して売買代金を支払う契約方法です。
割賦販売では、売買物件の支払いが終わるまで所有を売主のままにしておく「所有権留保」や、物件を担保として確保するために買主から所有権を譲ってもらう「譲渡担保」は基本的に許されていません。
不動産以外で分かりやすい例として、携帯電話の購入をイメージしてみてください。携帯電話を購入するときは24回などの分割払いにすることが多いですが、この方法も「割賦販売」。携帯電話を端末代金の担保にしているわけではないので、払えなくなっても携帯電話自体が回収されるわけではありませんよね。
2.割賦販売で不動産を売却する方法とは
では、割賦販売でどのようにして不動産を売却するのでしょうか。ここでは、不動産を割賦販売で売却する際の方法について詳しく解説していきます。
①売主と買主の合意
不動産売買では、代金支払いを一括払いにしなくてはいけないというルールはありません。
契約自由の原則に基づいて当事者間で自由に契約条件を決めることができるため、代金の支払い方法を分割払いにすることも可能です。
ただし、売主と買主双方の合意が必要です。「売主と買主の一方のみが割賦販売を了承しており、どちらか一方が了承していない」というケースでは、分割払いによる売買契約を締結できません。不動産売買をする前に必ず確認するようにしましょう。
②抵当権を抹消する
買主と売主の双方が割賦販売を承諾していても、住宅ローンが未完済だと割賦販売を選択できない恐れがあります。
住宅ローンを契約する際には金銭消費貸借契約を締結しますが、よく確認すると、契約条項に「承諾なく勝手に不動産の名義変更をすることを禁止する」という内容が書かれていることがあります。
売主側にまとまった資金があって残債を一括返済できれば抵当権を抹消できるのですが、そうではない場合、不動産売却の代金によるローンの全額返済ができないため抵当権の抹消はできません。
このような事情から、割賦販売は「残債を一括返済できるほどの自己資金がある場合」もしくは「ローンを完済している場合」にのみ検討できる方法となります。
※こちらの記事も参考にしてくださいね!
【「不動産の割賦販売」どんな人が買うの?|売り方と注意点も解説!】
割賦販売についてもっと詳しく知りたい方はハウスウェルへ!お問い合わせはこちら
3.割賦販売で不動産を売却する際の注意点
割賦販売は不動産売買では特別な契約形態なので、契約後のトラブルを回避するために注意点をしっかり押さえておきましょう。ここでは、割賦販売で不動産を売却する際の注意点を3つお伝えします。
①銀行の承諾が必要
もし銀行の承諾を得ることなく親族間売買を行うと、銀行から売主に対して「一括返済」を求められる危険があります。つまり、売主側に残債があり抵当権が設定されている場合には、基本的に割賦販売の方法は使えないのです。
売主側に残債がある場合、住宅ローンを一括返済するなどして残債を完済させてからでないと売買をすることができません。まずはその残債をなくすことを最優先に考えましょう。
②贈与税がかかる場合がある
割賦販売を締結する際に、「最終的に売却代金を受け取ることができれば問題ない」という理由から、無利息の割賦販売を締結しようとする人も多いのではないでしょうか。
しかし、割賦販売は長期にわたる高額な借り入れと考えられるので、利息を返済額に上乗せして支払うのが一般的です。無利息にすること自体に問題はありませんが、契約条件が買主に有利となるため、利息分について贈与税が課される可能性があります。
実際に「契約期間が○○年以上で売買金額が○○万円以上であれば贈与税の課税対象になる」という基準があるわけではありません。ですが、無利息で契約した場合には買主の負担が大きくなってしまうかもしれないのです。
割賦販売を締結する際は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
③相続時に遺産分割で揉める恐れがある
遺産分割のトラブルは、親子のような親族間売買がメインになってくるケースが多いでしょう。
たとえば、「売主が親で買主が子供」となる親子間売買を割賦契約の方法で行ったとします。その後、親が亡くなり、いざ遺産分割をしようと相続人が考えたときに、親が所有していると思っていた不動産が子供名義に変更されていたらどうでしょうか。
他の相続人にとってはいい気持ちはせず、もしかしたらその売買の内容を調べて色々と掘り返してくるかもしれません。場合によっては売買自体が無効だと主張してくる恐れも。それが割賦販売であったとしたら、今までの代金支払いの証明を求めてくる可能性もありえます。
割賦販売の方法をとる場合は、相続人や家族同士で相続時に揉め事にならないように慎重な判断が必要になってきます。まず、これから親族間売買での割賦販売を検討している方は、売主と買主と相続人全員に売買の内容をしっかりと説明しておきましょう。
また、長期的な支払いになれば、当事者である売主と買主が分割期間中に死亡する恐れがあります。そうなると相続人が契約内容をそのまま引き継ぐことになりますので、その点でも相続人全員への事前説明はとても大切です。
トラブルを回避する方法として以下の3つをおすすめします。
・親族間で割賦販売の方法をとる際には契約書に特約条項として記載しておく
・相続時に客観的な証明ができるような書面を残しておく
・毎月支払うお金を現金払いではなくあえて振り込みにして、通帳に履歴を残しておく
なお、相続時に争いになるかもしれないご家族には、親族間売買自体おすすめできません。あとになって色々と掘り返されて、売買の価格や意思、能力の問題などについて「おかしい」と主張される恐れが高くなるからです。
※こちらの記事も参考にしてみてください!
【「割賦販売」で不動産を売却するメリットとデメリット|デメリット対策も解説!】
割賦販売の相談もOK!不動産売買のことならハウスウェルへ|お問い合わせはこちら
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、割賦販売の特徴や注意点について説明しました。
一生に一度の大きな買い物が、毎月無理のない金額を払えば手に入れることができる。そう安易な気持ちで割賦販売を利用したら、税金をたくさん取られたり、家族間で大揉めしたりしてしまう恐れがあります。
また、銀行の承諾をもらわないまま行い大変な目に遭うことにもなりかねません。割賦契約の意味や特徴をしっかり理解したうえで、トラブルにならないように利用するようにしましょうね。
割賦販売で不動産販売をお考えの方はハウスウェルへ!ぜひご覧ください