「離婚するなら、今まで住んでいた家を売却しよう」と考えているご夫婦が多いのではないでしょうか?売却したお金を財産分与としてお互いに分けて、今後の生活費にあてられることがその理由の一つです。
しかし、中には「住み慣れた家を離れたくない」「子供を転校させたくない」といった理由で、売却せず住み続けることを希望する方もいます。
今までの生活スタイルを変えずに暮らせる、学校に転校届を出しに行かなくてよいなどメリットが多いように見えますが、実際には色々な注意点も。そこで今回は、離婚後も持ち家に住み続ける場合のデメリットやその解決法について解説していきます。
1.持ち家に住み続ける3つのケース
名義人によって、住み続ける場合の注意点がそれぞれ異なります。ここではまず、持ち家に住み続ける3つのケースを解説していきます。
①名義人が住み続ける
離婚をして家の名義人がそのまま住み続ける場合、「家の価格から住宅ローン残債を差し引いた残金の半分」を相手に支払う必要があります。
例えば、家の価値が3,000万円で住宅ローンの残りが1,000万円の場合、差し引いた2,000万円の半分の1,000万円を支払わなくてはいけません。
そして今までと同じように住宅ローンを払い続ければ、今の家に住み続けることが可能です。
②名義人以外が住み続ける
名義変更をせずに、名義人以外が住み続けるケースです。例えば、「住み続ける方が仕事をしていない場合」は経済的に不安があるので、住まない方が名義人のまま住宅ローンの返済をし続けることがあります。
そうなると、住まない方の負担が大きくなりますよね。また、ローンの返済が滞ってしまうと、家を差し押さえられて住んでいる方が家を追い出される恐れも。
③共有名義のまま片方が住み続ける
夫婦共有名義の場合、売却をするときにはお互いの承諾が必要になります。離婚して新たな人生を歩みたいのに、手続きや売却の準備などでお互い顔を合わせることが多くなりがち。
共有名義になっている場合は、早めに単独名義に変更しておくことをおすすめします。
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2.離婚後に住み続ける場合のデメリットは?
離婚後も家にそのまま住み続ける場合、名義人によるケース以外にどんなデメリットがあるのでしょうか。ここでは3つご紹介します。
①ご近所の目が気になる
今まで近所の方と家族ぐるみで仲が良かった場合、「離婚」のうわさは一気に広まるでしょう。「最近旦那さんを見かけないね」「○○ちゃんは最近外で見かけないけど」など、明らかに様子が変わった家族から状況を悟られてしまうことが多いです。
周りの空気に耐えられず結局引っ越しをする羽目になってしまうと、お金もかかりますし準備も大変ですよね。
近所を一軒一軒回って報告するまではしなくてよいですが、仲が良かった近所の方には報告しておくと安心かもしれません。
②不動産のすべての負担を負うことになる
家の名義人になり住み続けると、以下のような家に関わる費用や維持費が必要になります。
・住宅ローン残債
・土地・建物の固定資産税
・戸建ての場合は外壁や屋根の修繕費用
・庭の植栽の草刈りや剪定費用
・マンションの場合は管理費・修繕積立金
・火災保険料
住宅ローンのほかに、毎月の固定費として固定資産税、マンションの場合は管理費や修繕積立金、火災保険がかかります。さらに数年後には、建物の外壁や屋根の劣化による塗装費用や修繕費用、庭のある家なら草刈りや植栽の管理にかかる費用も。
家を所有し続ける限り税金や管理費がかかりますので、お金の管理をきちんと行うようにしましょう。
③時間が経つと売却しづらい
「住み慣れた家に死ぬまで住み続ける!」と思っていても、将来のことは誰にも分からないもの。いざお金が必要になったら、家を売却することも選択肢に入れましょう。
今後社会情勢の変化で物価が下がったり、家の築年数が古くなったりすることで、現時点よりも売却額が安くなってしまう恐れがあります。将来家を売る可能性が少しでもある方は、早い段階で家の売却を検討しても良いかもしれません。
不動産価格の変化や建物の築年数による売却金額を把握するために、一度専門家である不動産会社に相談してみることをおすすめします。
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3.住み続けても「家の査定」はしておこう!
今の家に一生住み続けると考えていても、一度家の売却査定を不動産会社に依頼しておくようにしましょう。
「売却するつもりは全然ないのに不動産会社に頼むのは申し訳ないな」「名前を言わないで金額だけ知る方法はないの?」と悩んでいる方のために、査定方法を3つご紹介します。自由に選べますので、あなたに合った査定方法を選んでくださいね。
①匿名査定
その名の通り、名前を出さずに査定額を知ることが可能です。AIなどの人工知能による査定方法で、数分で金額を出してくれますよ。
細かな金額までは出すことができませんが、しつこい営業の連絡が来ることがないため、おおよその金額だけ知りたい方におすすめです。
②机上査定
地図や土地・建物の広さ、築年数などをもとに査定を行う方法。現地に行かずに査定を行うため、設備の状況や外壁、内装の状態は金額に反映されません。
こちらも割と早く金額が分かるため、急ぎでできるだけ正確な金額が知りたい方に向いています。
③訪問査定
実際に不動産会社の営業マンに現地を見てもらい、金額を出してもらう方法。物件の状況を確認し、直接所有者の方にヒアリングを行うので、細かな金額を出すことが可能になります。
【関連記事】家を売却したい!売却査定の種類&売却までの流れ
4.住宅ローン完済のため「リースバック」の検討を
リースバックとは、不動産会社に家を売却して、賃貸として家賃を払いながら引っ越しせずにそのまま住み続けられる制度のこと。
売却することで、まとまったお金を老後の資金にあてたり、住宅ローンが残っている場合は残債をなくしたりできます。さらに固定資産税などの固定費もかからなくなるため、メリットが多いのです。
しかし、不動産会社が「所有者」になるため、将来子供や孫に家を相続することはできなくなります。リースバックをするかどうかは、じっくりと子供たちと話し合って意見を交換しながら決めていきましょう。
5.まとめ
今回は、離婚後に家に住み続けるときの注意点や解決方法について説明しました。住み慣れた家に住み続けることができれば、今までの生活スタイルを変えなくてもいいですし、子供を転校させる必要もありません。
一方で、家の所有者になることで、毎月の住宅ローン残債に加え固定資産税などの固定費も支払っていく必要が出てくるのも確かです。
今の家に住み続ける場合には毎月いくらの固定費がかかるのか、事前に把握しておきましょう。また、毎月の支払いが難しくなったときのために、家の売却やリースバックの検討も視野に入れておくことをおすすめします。
「離婚後、家をどうするか」という問題は、しっかりと家族で話し合って決めることが大切ですよね。しかし、税金のことや不動産の売却、リースバックについては専門的な知識も必要です。
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